こんにちは。
トラベルドクターの伊藤玲哉です。
今回は、私が “医師をめざした理由”についてお話ししたいと思います。
私は1989年に生まれ、東京都大田区で育ちました。
羽田空港がすぐ近くに見えたため、幼少期からよく飛行機を眺めながら過ごしていました。
私が医師をめざした理由は、3つあります。
小さい頃は身体が病弱で、ほぼ毎晩のように喘息発作を起こし、緊急入院になったこともありました。
夜中に発作が起こると「このまま死んでしまうかも」という恐怖に襲われます。
現在は発作は起きにくくなりましたが、喘息があったことで、病気を抱える「苦しみ」を知れる大切な経験となりました。
父は、地元にある診療所で町医者をしています。
子供のころは夜間に喘息発作が起きると、父親のいる寝室へ向かいました。
父親を起こすと、眠たそうな目をこすりながら一緒に診察室へ行き、吸入器を準備してくれます。
そして、そっと吸入器を口元にあて、発作が落ち着くまでずっと寄り添ってくれました。
吸入器から出る蒸気を吸入しているうちに、徐々に発作が落ち着いてきます。
息の苦しさから解放されると同時に、父親の存在に“安心感”を感じていました。
そして、人の苦しみを和らげることができる医療を経験したことで、自分も同じように苦しみを抱えている人の力になりたいと考えるようになりました。
最後の理由は、“母親の死”です。
私は5歳のときに、母を亡くしました。当時は幼かく、母親の記憶はほとんどありません。
当時はまだ幼く、その意味を理解できませんでしたが、何日待っても母親が家に帰ってこないという事実から、小さいながら母の「死」を感じ取りました。
当たり前だった存在が、ある日突然いなくなる。
その体験をわずか5歳でしたことは、今の自分に大きな影響を与えていると思います。
これらが、私が「医師」をめざした理由です。
これらの経験が1つでもなかったら、医師という道は選ばなかったと思います。
すべての経験に感謝していきたいです。
余談ですが、医師以外になりたかった職業もあります。
それは「ブライダルプランナー」です。
結婚式は人生において、ヒトが最も輝くことのできる日だと思います。
人生最高の1日を、自身の考えたプランでさらに輝かすことができる点に魅力を感じました。
「病気を抱えていても旅行を叶えたい」という現在の考え方にも繋がります。
病気との戦いの中で、たとえ絶望のどん底にいたとしても、
“旅行”という体験を通じて、「大変なこともあったけど、今が一番しあわせだ」と感じることができれば、
医師という職業は、この世で最も価値のある仕事だと信じています。
かつて喘息で苦しむ私に寄り添ってくれた父親のように、
自分自身も病気で苦しんでいる人に対して、自分の“めざすべき医療のカタチ”を届けられるようになりたい。
改めて、“医師”という職業に就けていることに感謝します。
ちなみにトップの画像は、私が医師になって初めて担当した患者さんです。
退院日の「先生、ありがとう」という言葉は、今でも私の宝物です。
今を生きるあなたへ
トラベルドクター 伊藤 玲哉